1948年にアメリカとイギリスが締結した対共産圏向け傍聴協力協定(UKUSA)に端を発し、アメリカの国家安全保障局(NSA)を中心にその後カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わり、電話、ファクス、テレックス、電子メール、インターネットの情報を盗聴するシステムが世界的規模で展開されてきたとされる。2006年からはアイルランドも加わり、英語圏6カ国によって構成されているといわれる。この英語圏6カ国による通信傍受システムは「エシュロン」(コードネーム)作戦とも呼ばれ、その活動の問題性を最初に指摘し、同盟関係にある国をも傍聴対象にするアメリカの姿勢を強く非難したのが欧州議会である。欧州議会の科学技術選択評価局(STOA)は、1999年4月に「監視技術の発達と経済情報乱用の危険性」と題する報告書を発表し、冷戦終結後も通信傍受を行い、同盟諸国の経済・技術情報を盗聴し、アメリカの産業界や技術開発機関に有利な情報を流していることに対して重大な懸念を表明した。その後、欧州議会でフランス企業がこの活動によって受注妨害を受けたことが問題となり、2000年7月に調査特別委員会が結成され、01年5月にNSAなどの関係機関に対する事実調査を実施したが、調査受け入れ拒否にあい、対米不信を募らせる結果に終わった。調査特別委員会は5月29日に最終報告書草案を発表、7月3日に賛成27、反対5で採択した。