ノルウェーのノーベル平和賞委員会は、第二次世界大戦後のヨーロッパと世界の平和の維持に貢献したことを理由に、2012年のノーベル平和賞を欧州連合(EU)に授与することを決定した。12年12月10日に行われた授与式にはファンロンパイEU首脳会議常任議長やバローゾEU委員会委員長らが出席し、ファンロンパイ議長は暴力と報復の連鎖を断ち切り、平和の秩序を打ち立てたヨーロッパ統合の先駆者たちの偉業を讃(たた)える受賞演説を行った。しかし、EUが冷戦後の旧ユーゴの解体過程で発生したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で多くの人命を救えなかったことや、拡大するEU域内の貧富の格差を解消できず、また移民労働者への差別の横行に有効な手を打てないでいるEUの現状をあげて授賞を批判する声も少なくない。