2014年9月18日に実施された、スコットランドのイギリスからの独立を問う住民投票。11年のスコットランド議会選挙で独立を掲げるスコットランド民族党が過半数の議席を獲得。翌12年にサモンド同党党首(スコットランド行政府首相)とキャメロン首相の間で住民投票の実施が合意された。投票率は84.6%、開票の結果、有権者約430万人(イギリス、イギリス連邦、EU加盟国いずれかの国籍を持ち、スコットランドに居住する16歳以上の住民)のうち、独立反対が全体の過半数の55.25%を占め、否決された(賛成は44.65%、無効は0.1%)。スコットランドは1707年にイングランドと統合するまでは独立国であった。伝統的にイングランドへの対抗意識が強かったが、1980年代のサッチャー政権の構造改革で基幹産業が衰退する中、富の集中が進むロンドンへの不満が強まった。一方でスコットランド沖の北海油田の開発が進むと、独立への期待が高まった。またEUに加盟すれば、イギリス政府の規制を受けなくとも国家として運営していけるとの認識も広がった。投票公示後、世論調査では反対派がリードし続けていたが、8月中旬以降、賛成派の支持が急増、直前の世論調査では賛否が拮抗していた。あわてたイギリス政府指導部は次々に説得のため現地入りし、今後の移譲権限の拡大を公約した。最終的には独立に伴う経済への影響を懸念する声が勝った模様である。サモンド首相は辞意を表明したが、今後、中央政府とは権限移譲をめぐる交渉を本格化する。キャメロン首相は、15年1月までに権限移譲法案を公表すると表明している。