2014年9月14日に行われた総選挙で、中道左派の野党3党が勝利を収め、8年ぶりに政権交代した。8年間政権にあった中道右派のラインフェルト政権が目指した民営化など、競争力を重視する政策に代わって、ロベーン中道左派政権は伝統的な高福祉政策への回帰を目指す。この結果をもたらしたのは、国民の改革疲れと言われる。8年の改革、自由化で格差は広がり、教育レベルは低下、移民も急増し、従来の高負担政策がもたらすはずの恩恵を感じられない国民の間には急速に不満が高まった。ただし、移民への不満票は中道左派政党にではなく、移民排斥を掲げる極右政党の民主党に集まった。同党は急激に党勢を伸ばし、重要事案でキャスティング・ボートを握るようになっている。事実、14年12月3日、政府提出の予算案を議会が否決した。民主党の賛成により、野党4党の対抗予算案が採択されたのである。ロベーン首相は総選挙の実施を表明したが、年末に妥協が成立。かろうじて選挙を回避することができたが、依然難しい議会運営を迫られている。