2016年3月にベルギーの首都ブリュッセルの空港と地下鉄駅で発生した自爆テロ事件。32人が犠牲になり、約340人が負傷した。事件発生直後に、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。22日午前8時ごろ、ザベンテム国際空港出発ロビーのカウンター付近で爆発が起こり、直後にターミナルビルの玄関付近でも2度目の爆発が起きた。さらに1時間ほど後に、今度は市内中心部に近い地下鉄マルベーク駅でも爆発が起き、この時には邦人2人も巻き込まれている。ベルギー当局は実行犯5人を特定、同年4月9日、自爆死した3人を除く容疑者2人を拘束した。そのうちモハメド・アブリニ容疑者は、空港で自爆した2人とともに15年11月のパリ同時多発テロに関与したとして指名手配されていた。また、事件4日前の18日には、同じくパリ同時多発テロの実行犯とされ、指名手配されていたサラ・アブデスラム容疑者がブリュッセルで逮捕されたばかりだった。彼らを含め、パリのテロ実行犯の多くが、ブリュッセルの南西部郊外にあるモレンベークに居住していた。同地区はモロッコ系の移民が多く暮らす地域で、人口の80%がイスラム教徒、失業率は30%に上る。治安当局の問題掌握が不十分だとして批判が起こったが、EU内の連携の不備も指摘されている。