宗派・民族対立が悪化するイラクの安定化を促すための協議をする国際会議。2007年3月、イラクの首都バグダッドで国連安保理の常任理事国5カ国とイラン、シリアを含む周辺国など16カ国が参加した外務次官・大使級レベル、および国際機関が参加した会議が開かれた。これにより、今後のイラクの治安、難民、エネルギーを協議する3委員会が設置された。これを受け同年5月、エジプトのシャルム・エル・シェイクで、50カ国以上の外相級レベル、国際機関が参加した会議が開催された。同会議ではイラクの今後5年間の包括的な改革・投資計画をはじめとする「イラク・コンパクト(ICI)」が採択され、イラクの国民和解への後押しをした。また、経済面でも、イラクの債務(400億~500億ドル)のうち300億ドルの債権放棄が会議参加国から表明された。共同声明では、イラク治安部隊の強化、難民および国内避難民の保護が訴えられた。この会議においては、05年11月以来2年ぶりに、シリア外相とアメリカのライス国務長官(当時)の外相会談が持たれた。その後も07年9月にはニューヨークの国連内で、周辺諸国、G8、安保理常任理事国、国際機関などの代表による会議が、11月にはイスタンブールで外相級会議(第2回)が開催されている。また08年には4月にクウェートで外相級会議(第3回)が、5月にはストックホルムで、イラク・コンパクト第1回年次レビュー閣僚級会合(約100の国と国際機関が参加)が開催された。