1979年のイラン革命によって生じた、在テヘラン米大使館占拠事件(444日)以降続く、イラン・アメリカの外交断絶状態。アメリカでは、カーター政権の人質救出失敗、レーガン政権のイラン・コントラ事件などから、民主、共和両党ともイランへの評価は厳しい。アメリカのイランへの懸念には、(1)核開発疑惑、(2)アルカイダとの関係、(3)中東和平プロセス反対派への支援、(4)大量破壊兵器開発(長距離ミサイルを含む)、(5)イラン国内の人権状況、(6)イラクへの内政干渉、などがある。アメリカはレーガン大統領(当時)により84年にイランをテロ支援国家と指定している。アメリカ議会下院は96年にイラン・リビア制裁法(ILSA、2006年改正)を成立させ制裁強化をはかる一方、イラン自由支援法(IFSA)を可決し、イランで活動する人権支援組織への資金支援を開始している。またイラク関連で、(1)アメリカ軍によるイラクでのイラン政府関係者の身柄拘束、(2)イラン製武器の押収、(3)イランのイスラム革命防衛隊によるイラク武装勢力の訓練証言、などが報道され、イラク安定化の懸念材料となっている。一方、イラン国内では、アメリカの複数シンクタンクの研究者などがスパイ容疑で身柄拘束される事件が起きている。このように、対立してきたイラン・アメリカ関係であるが、オバマ政権では対話政策に言及している。