パレスチナ人を代表する政治組織。1964年の第1回アラブ首脳会議で設置が決定され、同年5月に誕生した。国会に相当する機関はパレスチナ民族評議会(PNC Palestine National Council)で、内閣にあたる組織が執行委員会であり、パレスチナ国民憲章が憲法の役割を果たす。PLO傘下の最大組織はファタハ(Fatah パレスチナ民族解放運動)で、反主流には、PLO内の第2勢力の左派のPFLP(パレスチナ解放人民戦線)やDFLP(パレスチナ民主解放戦線)などがある。69年2月にファタハの指導者アラファトが第3代議長に就任して機構を整備し、事実上の亡命政府となる。88年よりPLOはシオニスト国家打倒からイスラエルとの共存によるパレスチナ建設へと動き、パレスチナ民族評議会で独立宣言を採択し、和平交渉路線に進む。94年にはオスロ合意による暫定自治がガザとエリコで開始され、アラファト議長がガザへの帰還を果たす。その後2004年11月のアラファトの死去にともない、議長にはマフムード・アッバスが就任した。07年9月、アッバス議長は立法評議会選挙の候補者条件として、「PLOをパレスチナ人の唯一の代表と認めた者」とする議長令を出した。一方、09年8月に1996年以来開催されていなかったPNCが開かれ、欠員となっている執行委員会の6人を選挙し体制を整備した。なお、PLOはパレスチナ暫定自治政府がもっていない外交権限を、経済援助などいくつかの分野に限って有している。