イスラエルによるパレスチナとの境界地域での安全保障フェンスの建設問題。イスラエル政府はその必要性を以前から認識しており、2001年には「エルサレム包囲」計画を承認、フェンスの完成部分は07年末で409kmに達しており、完成時の全長は790kmに及ぶ(1部は8mの高さのコンクリート製)。フェンスの建設効果としてはテロの防止に加え、窃盗などの組織犯罪に有効と考えられている。一方、パレスチナ人には、フェンスによって土地や家族が分断されたり、土地や家を収用される者も生まれている。フェンス建設地が第3次中東戦争(1967年)以前の停戦ライン(グリーン・ライン)よりもパレスチナ自治区に食い込んでいる点や、パレスチナの人々の移動が制限されるため、国連も総会で2004年7月に撤去を求める決議案を採択している。また、国際司法裁判所(ICJ)も、占領地域での壁の構築は占領による変更であり国際法に反する、との回答を示している。さらに、07年9月、イスラエル最高裁が、パレスチナ人の生活が不当に害されるとして建設の変更を命じた(ただし、建設自体の違法性は認めず)。