トルコが1964年に欧州経済共同体(EEC)の準加盟国となってからの欧州連合(EU)加盟に向けての動き。EUにとってトルコの加盟は、域内最大の7319万の人口を有する国家(99%がイスラム教徒)を抱えることであり、域内の人口移動や各種支援策のバランスが大きく変わることになる。EUは、人種問題、少数民族保護問題などを条件に出し、トルコの加盟を先送りしてきた。しかし、2004年12月のEU首脳会議において、05年10月からの本格的加盟交渉が決定した。これは加盟を保障せず、期間も定めない厳しいものであるが、トルコにとっては大きな一歩である。しかし、06年12月には、トルコの空港、港湾開放に関するキプロス問題をめぐり、交渉項目のうち、モノの自由な移動などの8分野が凍結された。07年に入り、3月には全35分野中の企業・産業政策の分野で、6月には統計および金融監督の2分野での協議が再開された。なお、トルコ国会は08年4月30日、言論の自由を制限しているとEUが批判してきた刑法301条の改正案を可決した(5月7日、ギュル大統領が署名、翌8日発効)。これにより、侮辱の対象が「トルコ的なもの」から「トルコ国家」とされ、立件に際して法務大臣の許可が必要となり、最長刑期が3年から2年に短縮された。