中東地域のシーア派勢力の分布状況を示した地政学的表現。シーア派人口は、パキスタンからレバノンにかけて弓状に分布しており、1億4000万人に達するとの説もある。その動向は、1979年のイラン革命時には、周辺諸国への影響が「革命の輸出」との表現で懸念された。湾岸協力会議(GCC)諸国では、特にバーレーンとサウジ東部州(シーア派地域)が注目されていた。現在注目されているのは、イラク国内に影響力を有するイラン在住のイラク人アヤトラ・ハエリ師とイラクのムクタダ・サドルとの関係や、ヒズボラ指導者ナスラッラー師とイラン最高指導者ハメネイ師の関係など、イラン・ネットワークの台頭である。なお、2008年9月には、カタールのスンニー(スンニ)派のカラダウィ師(国際ムスリム学者連盟会長、ムスリム同胞団の精神的指導者ともいわれている)が、エジプトでシーア派の布教活動が活発になっていることに言及したことで、イラン宗教界と対立が起きている。