ペルシャ湾の入り口に位置するアブー・ムーサ島の領有権問題は、イランとアラブ首長国連邦(UAE)の対立となっている。イランは、同島は1878年よりその主権下にあり、1887年にはシャーが同島を支配していたカワースム族の首長を追放、再び直接統治としたので自国領だと主張する。これに対しUAEおよびイギリスは、カワースムの支配に独自性があったこと、同島はシャルジャが支配統治していたと反論、1973年11月、両国間で協定が調印されたが、92年にイランが島全域を支配下に置き、軍事基地化している。ムーサ島問題解決に向け、99年7月湾岸協力会議(GCC)は三者委員会を設置し、UAEの立場を尊重し、直接交渉または国際司法裁判所への委託による解決を呼びかけているが、イラン側の対応がない。