2003年3月のアメリカ、イギリスを中心とする対イラク軍事介入後、国際社会が国連の安保理決議1483に基づきイラク復興支援のために派遣した、多国籍からなる軍。イラクの平和構築には治安回復が大きな課題であり、38カ国および北大西洋条約機構(NATO)が軍事協力を行った。しかし、イラクへの国際介入の正当性が疑問視される中で、04年にはスペイン(1400人)をはじめ9カ国が、05年にはウクライナ(1400人)、オランダ(1350人)など4カ国が撤退した。さらに、06年にはアメリカ(16万8000人)、イギリス(9000人)、韓国(3600人)に次いで多くの駐留軍を派遣したイタリア(3000人)が、ルーマニア(850人)、ノルウェー(10人)とともに撤退した。これにより、上位3カ国に加えてオーストラリア(920人)が主力となって治安回復に努めた。国連はイラクでの多国籍軍の駐留について、安保理決議1546(04年6月)のもとで12カ月ごとに見直すこととなり、イラク側の要請に基づき05年11月の1637、06年11月の1723、さらに07年12月の1790で延長を決めてきたが、イラクのマリキ首相は1790が最後の延長となるとして、外国軍の駐留期限を08年12月末で切った。このことで、イラクはアメリカ、イギリス、オーストラリアとの間で二国間協定を結び、駐留延期を実施したが、イギリスとオーストラリアは09年7月末までに撤退を完了している。