イラクにおけるアメリカ軍の駐留に関する法的根拠となる協定。イラク復興にかかわる多国籍軍は、国連安保理決議が2008年12月31日をもって失効するため、イラク政府との二国間協定を締結することとなった。アメリカも、イラクと(1)戦略枠組み合意、(2)地位協定を08年12月に締結した。その主な内容は、(1)軍事作戦においてアメリカ軍とイラク軍との連携を強め、アメリカは単独行動をとらない、(2)重罪を犯したアメリカ兵士については主権を尊重し、裁判権をイラクが有する、(3)アメリカ軍はイラクを拠点としてイラク周辺国を攻撃しないこと、(4)アメリカ軍は令状なしで家宅捜査をしない、(5)09年6月末までに都市部から戦闘部隊を撤収する、また11年末までにイラク全土から撤収する、などである。同協定が取りまとめられるまでに、イラク国内ではシーア派のムクタダ・サドル・グループなどによるアメリカ軍の即時撤退を主張したデモの実施や、協定案の承認と引き換えに収容されているイラク人の釈放を要求するグループも見られるなど難航した。協定案は08年11月にイラク国会において、賛成198、反対149で可決された。