中東和平交渉の基礎となる唯一の国連安全保障理事会決議。1967年の第3次中東戦争(67年戦争)の際、安保理は決議242を採択した。同決議は、イスラエル軍に67年戦争で占領した地域(ゴラン高原、西岸・ガザ、シナイ半島)からの撤退を求め、同時に、地域にあるすべての国の存続を認めた。同決議は、イスラエルの存在を認める決議であり、「領土と和平の交換」を原則としている。決議242は、中東紛争のすべての当事者が承認した決議であり、イスラエルと隣接する国・組織(レバノン、シリア、ヨルダン、エジプト、パレスチナ)が交渉をする際の基礎となっている。イスラエルは、79年にエジプトと和平条約を締結し、82年までにシナイ半島から完全撤退した。94年には、ヨルダンと和平条約を締結し、領土問題はない。シリアとの交渉は、中断しているが、決議242が交渉の基礎であるため、ゴラン高原をイスラエル側が返還することを前提に交渉が行われている。イスラエルとパレスチナの交渉も、西岸とガザの返還を前提として協議される。レバノンとイスラエルの交渉は、まだ開始されていないが、イスラエル軍が占領する領土があれば、その地域の返還が前提になる。安保理決議338は、73年の第4次中東戦争の際、安保理が決議したが、内容は決議242の履行を求めるもの。