トルコのイスラム政党である公正発展党は、2002年11月の選挙で勝利して政権の座についた。当初、イスラム政党が政権の座についたことで、世俗国家防衛を掲げるトルコ軍が政治に介入するのではないかと懸念されたが、公正発展党は、イスラム色を抑え、有権者の支持を獲得したため、軍は露骨な介入はできないといわれるようになった。07年の総選挙では、公正発展党は国会(定数550)の331議席を獲得した。公正発展党の政権の下で、トルコ経済が発展し、中東におけるトルコの存在感が増大したが、軍とイスラム政党との間での緊張感は存在している。08年夏に表面化した反イスラムの極右秘密組織エルゲネコン捜査も、軍とイスラム政党との確執の一部であり、両勢力は憲法改正などで抗争を継続している。11年6月に行われた選挙では、公正発展党は、過半数を大きく上回る327議席を確保したが、改選前の331議席から微減し、国会承認だけで憲法改正が可能となる定数の3分の2には届かなかった。12年1月、トルコの国会本会議は、国民投票により大統領を選ぶための大統領選挙法を可決した。同法律の下では、国会議員、民間人を問わず、国会議員20人以上の推薦を受けた候補が大統領に立候補できる。任期は5年で、最大2期務めることができる。1月25日、ギュル大統領は、自身の任期を14年までとする新たな選挙法を承認した。