シリア国内で行われている政府軍、世俗派反体制派、イスラム過激派による三つどもえの戦闘。2011年3月に国民の抗議デモが拡大すると、シリア政府は軍事的鎮圧に乗り出した。反体制派側も武装した結果、シリアは内戦状態になった。戦闘は国内の主要都市を含む全土で行われている。インターネットなどで小戦闘が発生している状況は見ることができるが、内戦の全体像は14年1月時点でもはっきりしない。13年になると湾岸諸国の支援を受けたといわれるイスラム過激派の戦闘部隊の存在感が増大した。13年末からは、世俗派の反体制派とイスラム過激派の戦闘が激化している。内戦は、シリア政府軍、世俗派・穏健イスラム系の反体制派、イスラム過激派の反体制派の三つどもえの戦いになっている。欧米諸国は、シリア国内に設置されたイスラム過激派の基地で、自国民のイスラム教徒志願兵が訓練を受けて帰国し、自国内でテロを行うことへの懸念を強めている。国連安保理は、ロシアと中国の拒否権行使で機能停止状態にある。そのロシアは13年5月からアメリカとともに、シリア内戦の政治的解決を模索するためのジュネーブ国際会議開催を働きかけて、14年1月に同会議が開催された。内戦当初、国際社会では国民を殺害したアサド政権の存続は許さないとする意見が主流だったが、イスラム過激派の影響力増大が懸念される事態になり、過激派を押さえ込むためにはアサド政権の存続も視野に入れる考え方も出てきている。死者数は、13年末で12万人を超えたとの推定がある。14年1月国連は、死者推定のための確かなデータがないとして推定数字の発表を一時停止にした。