2013年春、アメリカのケリー国務長官は、中東和平交渉の再開に向けて猛烈な外交を開始した。その結果、7月末、イスラエルとパレスチナは、約3年ぶりに交渉再開に合意した。アメリカは交渉期限を14年4月末までとした。実務協議は、イスラエルからツィピ・リブニ司法相、首相顧問イツハク・モルホ、パレスチナ側からPLOのサーイブ・エラカート交渉局長とシュタイエPLO中央委員の4人で開始された。同協議には、アメリカのマーティン・インディック中東和平特使が参加した。実務交渉部門の上部には、アメリカのオバマ大統領、ケリー国務長官、イスラエルのネタニヤフ首相、PLOのアッバス議長(パレスチナ自治政府大統領)の4人で構成される政治交渉部門がある。交渉の詳細は一切発表しない方式が採られた。協議内容を発表するのはケリー国務長官だけとされた。7月末から開始された実務交渉は11月初旬までに20回程度開催されたようだが、イスラエルが入植地建設を発表したため協議が中断された。そのため11月までは実務協議に一切関係しなかったケリー国務長官が乗り出し、政治交渉部門での協議を開始した。11月アメリカはイスラエル軍がガザ西岸から撤退した後のイスラエルの安全保障に関するアメリカ側の考え方をイスラエルとパレスチナに提示した。12月には、和平合意にいたる場合にどのような合意の枠組みが適切かの協議を開始した。