イラク北部のクルド人自治地域を防衛する軍事組織。2014年、過激派組織「イスラム国」(IS)の攻勢を受けてイラク軍がキルクーク地域から撤退した。ペシュメルガは、この軍事的空白の機会をとらえて、イラク中央政権と抗争中であった同地域を占拠した。しかし、「イスラム国」は、ペシュメルガが占拠した地域に迫り、一時撤退を余儀なくされた。こうした事態に対応して、同年8月初めアメリカ軍主導による「イスラム国」への空爆が開始され、ペシュメルガは「イスラム国」の進出を阻止できた。15年1月下旬、ペシュメルガは、「イスラム国」が占拠する都市モスルの北部地域の「イスラム国」を押し戻し、主要補給ラインの一つを制圧したと発表している。一方、「イスラム国」は、シリア北部でクルド勢力が支配するアインアルアラブ(クルド名コバニ)への攻勢を強めた。シリア内のクルド勢力が支配するこの地域は、トルコ国境の隣接地域である。しかしトルコは何も対応せず、国際社会の批判を受けた。そのため、14年10月下旬、トルコはコバニ防衛のため、イラクのクルド地域に駐留するペシュメルガをトルコ経由でコバニに移送することを容認。クルド自治政府は、同決定を支持したが、イラク中央政府は憲法違反だと非難した。同年10月末、ペシュメルガはトルコ経由でシリア北部コバニへの移動を開始。アメリカは、コバニで戦うクルド勢力への武器支援を実施した。