中世のイスラム王朝から1914年のオスマントルコ帝国解体まで続いた伝統的政治制度。現在では、イスラム過激派が、近代の国家制度を否定して、伝統に立ち返ったカリフ制のイスラム国家建設を主張している。カリフは、元々は預言者ムハンマドの死後、イスラム世界の指導者を意味する。アフガニスタンを支配したタリバンの指導者オマル師がカリフを宣言している。2014年に過激派組織「イスラム国」(IS)が国家創設を宣言した際、指導者のアブバクル・バグダディのカリフ即位を宣言した。既存の国家でカリフ宣言を支持した国はなく、イスラム過激派の一部が支持を表明したにすぎない。実際の統治形式も不明であり、15年2月時点では、伝統的なイスラム国家を目指す象徴的な宣言以上の意味はない。