2007年以降、分裂状態にあるパレスチナ自治政府を統合する試み。西岸地域を統治するファタハとガザを実質統治するハマスが、14年4月に国民和解政府の樹立で合意。パレスチナと和平交渉中であったイスラエルは、ハマスとの和解に反発し交渉を中断した。14年6月に成立した統一政府は、テクノクラート色の強い内閣で、半年後に大統領と評議会選挙を行うことが内閣の主な使命とされた。形式的に西岸とガザを統治する内閣が成立したが、7月からイスラエル軍とガザの武装勢力間の衝突が激化したこともあり、統一政府のガザでの統治はほとんど進展していない。ガザのハマスは、形式的にはガザ統治を停止したが、ガザの国境である境界事務所の管理や治安権限などを手放さないでいる。またハマスは、ガザ統治時代に自分たちが雇用した公務員(約4万人)について、給与未払いのまま放置し、統一政府にその責任を押し付けた。統一政府は、まだハマス系公務員の扱いについて明確な立場を示していないため、行政機構が順調に動いておらず、現場での統治開始の阻害要因になっている。