欧州連合(EU)をモデルとして構想された、53の加盟国と約8億人以上の人口を擁する世界最大の地域統合機構。2002年7月、南アフリカのダーバンで開かれた第38回アフリカ統一機構(OAU)首脳会議において、OAUを改組し発足した。アフリカの団結・統一を目指す基本理念は継続され、本部も引き続きエチオピアの首都アディスアベバ。加盟国首脳会議を最高決定機関として、全アフリカ議会、裁判所、単一通貨の発行をともなう中央銀行などの設立を目指す。04年5月には平和安全保障理事会が発足した。1990年代以降の民主化と内戦の頻発に、より効果的に対処するため、加盟国間の民主化の相互評価システム、シエラレオネやルワンダのような内戦下の戦争犯罪や集団殺害に対する介入の権利の承認などが盛り込まれている。2008年1月に開かれた第10回首脳会議では、ケニアの政治社会混乱、ダルフール紛争、チャドの政情不安問題などが焦眉の課題となった。経済では、アフリカの工業化の展望がテーマとなった。AU委員会委員長はガボンのジャン・ピン外相。AU議長は1年の任期で、11年1月、人権侵害国として国際社会で多くの批判を浴びている赤道ギニアのオビアング大統領が就任。