人口1億3150万人(2005年)の西アフリカの地域大国。1960年のイギリスからの独立以来、250ともいわれる民族集団からなるために利害調整の困難さを背負ってきた。66年から70年にかけて激化した南東部のイボ人によるビアフラ分離独立運動を武力によって抑え込んだものの、膨大な原油輸出収入やその他の資源の分配をめぐる地域間、民族集団間の対立抗争は絶えない。こうした対立を力で解決しようとクーデターをくり返す軍事政権は、独立以来の約40年のうち30年にも及ぶ。99年の大統領選では民主化の闘士オバサンジョが勝利、オバサンジョ政権が誕生し、83年以来の軍政に終止符を打った。2003年4月の大統領選では、オバサンジョは62%の得票率で再選を果たした。06年5月、三選を可能にする憲法改正案を上院に提示したが、反対多数で否決された。07年4月の大統領選では、与党国民民主党(PDP)のウマル・ヤラドゥアが当選、5月にヤラドゥア政権が誕生した。10年5月長らく療養生活にあった同大統領が死去し、憲法の規定に基づきジョナサン元副大統領が大統領に就任した。イスラム人口の多い北部で00年より導入されたイスラム法に対するキリスト教徒の反発、04年5月に多数の死傷者を出した中央部でのキリスト教とイスラム教の信者間の衝突など、国内問題が山積している。さらに、04年9月、南部の産油地域で、ニジェール・デルタ人民義勇軍(NDPVF)と名乗る少数民族の武装集団が民族自決の名において政府との戦争を宣言、シェルなどの石油会社の撤退を要求した。治安は悪化し、06年以降、より頻繁に外国人石油部門関係者が誘拐されるようになるなど、同地域の先行きは不透明。