2008年8月、南アフリカのヨハネスブルクで開催された南部アフリカ開発共同体(SADC)首脳会議において、アンゴラ、コンゴ民主共和国、マラウイを除く加盟11カ国によって発足を宣言された自由貿易圏。域内貿易関税はすでに85%以上が撤廃され、モーリシャスなどは果物などが無税となっている。12年までに関税をゼロにし、18年までに共通通貨の導入を目指す。SADCは2億人以上の人口を抱え、今後、域内の貿易は活発化、競争が刺激され、消費者にとってのプラス面は小さくないと予想される。しかし08年9月には財界の強い支持を得ていた南アフリカのムベキ大統領が辞任し、ジンバブエで政情不安と経済崩壊が進行するなど、不安材料には事欠かず、08年秋以降の世界同時不況の中で飛躍的に取引が拡大することは望めない。また、アフリカの同様の地域経済協力機構の多くが、域内貿易協力において実際運用上の問題を抱えており、こうした点にも留意する必要がある。