大西洋に面する人口160万人の旧ポルトガル植民地で、1973年に独立。90年代初頭のアフリカ全土の民主化旋風の中で91年、複数政党制を導入したが、度重なるクーデターで政情不安は続いた。2000年代に入っても、03年にクーデターで成立した暫定政権を経て、05年に選挙による議会と軍部出身のビエラ大統領が誕生したが、09年3月には、同大統領と対立していた軍首脳が暗殺されるや、ビエラも直後に報復として反大統領の兵士によって射殺された。再び暫定政権が発足し、同年7月、国際選挙監視団のもとでの選挙によって、与党ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党(PAIGC)の党首で、対ポルトガル独立戦争の元ゲリラであるサニャが選出された。ギニアビサウはカシューナッツ輸出に大きく頼る農業国で「最貧国」に区分される。長びく政情不安で経済は停滞し、南米コロンビア産コカインのヨーロッパ向け中継基地として、軍部を巻き込んだ違法ビジネスが行われており、新政権がどこまで、崩壊した医療保険、教育などの社会サービス網を再建し、経済の健全化を図れるかが問われている。