2012年8月16日、南アフリカ北部のマリカナのイギリス資本系プラチナ鉱山でストライキ中の3000人規模の鉱山労働者と警官隊が衝突し、警官隊の発砲で34人が死亡するアパルトヘイト終息以来最大の労働争議犠牲者を出した。ストライキによる要求は賃金の値上げで、解雇も辞さないという会社側との対立が激化していた。この事件を受けて、一時他のプラチナ鉱山にもストライキが広がり、南アフリカが世界のプラチナ生産の7割を占めるだけに国際市場も高騰した。1994年の全人種の参加する選挙で、アフリカ民族会議(ANC)主導のアパルトヘイト制度なき新生南アフリカが発足したが、人口の7割以上を占める黒人層の生活改善はあまり進展しなかった。特に若年層の不満は高まり、以来政権党のANC内部でもかつての反アパルトヘイト闘争時代のベテラン世代と、より大胆な分配政策で生活改善を実現したいと願う若者世代との不協和音が顕在化している。急進的な発言と行動でANCを除名された元ANC青年同盟の本議長ジュリアス・マレマに代表される若者世代は、もう待てないとして目に見える成果を求めており、今後2014年の大統領選挙に向けてベテラン世代のジェイコブ・ズマ大統領との確執が激化する可能性がある。