コンゴ民主共和国(旧ザイール)の反政府武装集団。同国は、1997年の新体制発足以来、東部を中心に内戦と政情不安が絶えない。M23は2009年3月23日、当時のカビラ政権に対して反政府活動をしていた武装組織の人民防衛国民会議(CNDP)が政府との和平協定に調印したことに由来する。同協定ではCNDP兵士は国軍に統合される予定であったが、待遇条件が悪いことを不満とした旧CNDP兵士が中心となってM23という反政府武装集団を立ち上げた。M23は、政府軍を壊走させ、東部の主要都市ゴマを占拠するまで一時勢力を拡大した。ところが、13年に入るとM23の内部抗争が強まり、国連平和維持隊の強化もあいまって、11月にはM23は追い詰められ、政府は戦闘終了宣言をした。同年12月、ナイロビにてコンゴ政府とM23の間でM23の解散を含む和平協定が調印され、東部においてとりあえず持続的和平展望の兆しが見えた。M23の問題は、コンゴ民主共和国が抱える「東部問題」の一つ。隣国のツチ人支配のルワンダとウガンダは、同地域に平和でも戦争でもない状態をつくる中で、自国の安全保障に利するツチ人中心の反コンゴ民主共和国政府勢力を温存し、コルタンなどの鉱物資源の不法拠出でも利益を得ており、両国の動きが持続的和平の決定的カギとなっている。すなわち、コンゴ民主共和国の東部問題解決には、国連安全保障理事会の12年6月の報告でも指摘されるように、ルワンダとウガンダによるコンゴ領内の反政府組織に対する軍事支援をいかにやめさせるかが重要である。