モンゴル、旧ソ連中央アジアなどと接し、テュルク系のウイグル人が多く住む中国北西部の自治区。歴史・地理的に東トルキスタンと呼ばれてきた。この地域は北京からの自立的な姿勢が強く、1933~34年、44~49年、域内のカシュガルやイリなどで中国からの分離・独立運動が展開された。55年、自治区が成立。改革・開放政策により石油・天然ガスの開発が進む。99年、中国政府は「西部大開発」を発表し、東部沿岸地域への地下資源輸送計画が本格化。2004年12月、自治区内タリム盆地から上海までの天然ガス・パイプラインが商業運営を始めた。また、中国政府は中央アジア諸国からの資源確保を追求しており、この自治区が中継の要として注目されている。05年12月カザフスタンのアタスから新疆ウイグル自治区・阿拉山口(アラシャンコウ)まで全長988キロの石油パイプラインが完成。そこからさらに独山子(トゥーシャンツー)まで246キロのパイプラインが延び、06年7月には年間1000万トンの原油を輸送できる商業運転が始まった。首府ウルムチなど主要都市は、大胆な近代化によって旧来の街並みを失いつつある。教育を含め社会生活全般に「漢化」(脱ウイグル化)が進んでいる。1990年代、旧ソ連中央アジア諸国が独立したことに呼応し、独立志向が高まったが、当局からの厳しい弾圧・統制により、運動は結集したものとなっていない。9.11事件以後、独立派組織の一つ、東トルキスタン・イスラム運動は、アメリカによってテロ組織と認定された。また、上海協力機構(SCO)のテロ対策の一環として独立派が標的となるなど、「反テロ」の文脈で運動は弾圧されている。