旧ソ連では最小面積の共和国。トルコやイランとも国境を接する山岳国。人口の9割以上を占めるアルメニア人は、古くからキリスト教を信奉。資源に乏しいが、近年はダイヤモンドなど輸入貴金属の加工が主力産業となっている。旧ソ連のなかでも積極的に市場経済への移行を進めている半面、高失業率など国民生活は依然厳しい。知識人出身の初代大統領レヴォン・テル=ペトロスィアン(1991~98年)は、ナゴルノ・カラバフ和平で妥協的姿勢を示したため、国内で批判を受け辞任。首相であったロベルト・コチャリャンが現在大統領職を引き継ぐ。外交はロシア依存型。他方で、イラク戦争ではアメリカ「有志連合」に参加、2004年9月からポーランド軍指揮下に要員を派遣した。周辺国ではジョージア(旧称グルジア)やイランと良好な関係を保つ。07年5月12日、議会選挙によって与党の共和党は定数131議席中64議席を獲得するにとどまった。08年2月19日の大統領選挙では、コチャリャン派のセルジ・サルグシャンが当選したが、結果に不満なテル=ペトロスィアン派が大規模なデモを展開。3月にかけて市民が死傷する混乱が生じ、非常事態宣言が発令された。