2009~10年にかけ、トルクメニスタン産天然ガス輸送のための新たなパイプラインが相次いで稼働した。中国向けパイプラインについては、06年4月、ニヤゾフ前大統領が訪中時の合意を受け、全長1833kmに及ぶパイプラインがほぼ予定通り竣工。年間最大400億m3の輸送量を予定。09年12月14日、トルクメニスタン東部サマンテプでの稼働開始記念式典には、ベルディムハメドフ大統領と胡錦濤・中国国家主席のほか、沿線のウズベキスタン、カザフスタン両大統領が参列した。また、10年1月6日にはダウレタバード・ガス田からイラン領内へのパイプライン(全長30km)が竣工し、同ガス田での式典にイランのアフマディネジャド大統領が出席。年間200億m3以上の輸送量が見込まれる。
トルクメニスタン産天然ガスの主要輸出先は、従来ロシアであった(年間約500億m3)。またロシアを経由して他の旧ソ連・ヨーロッパ諸国に輸出されてきた。09年4月にロシア向けパイプラインが爆発する事故が発生したことを理由に、同年を通じトルクメニスタンからロシアへの天然ガス供給は停止。12月22日、ロシアのメドベージェフ大統領がトルクメニスタンを訪問し、ロシアは買い取り価格の引き上げを認め、10年1月、供給が再開された。ただし、供給量は最大300億m3と、従来の3分の2程度に縮小される見込み。このようにロシア向けの輸出が停滞する中、パイプラインの新規稼働は、天然ガス輸出の形態をロシア依存型から、より自立・多角化したものへと変化させつつあることをうかがわせる。