アフガニスタンにおけるNATO(北大西洋条約機構)諸国軍の活動のため、旧ソ連諸国を経由して物資を補給する陸上輸送ルート。NATO諸国軍はアフガニスタン介入当初より、活動のための物資輸送を主としてインド洋からパキスタン経由の経路に依存してきた。しかし、2008年ごろからタリバン勢力の復調によって陸路の要衝・カイバル峠周辺などパキスタン領内で輸送車を標的とする武力攻撃が増加。このため、まず黒海沿岸の親米国ジョージア(旧称グルジア)から中央アジア諸国を経由するルートが、次いで09年5月からはバルト海に面するラトビアからロシア、中央アジア諸国を経由するルートが設定された。特に後者は軍事用供給ルートとしては5000キロメートル超という史上まれにみる長さから、運用が危ぶまれていたが、10年6月現在でNDN経由のコンテナ輸送量が月間3000個を超えた。アフガニスタン向けの軍事物資輸送全体の約3割はNDNを経由したものとなっており、NATOとロシアの協力関係を象徴する事業としても注目される。10年11月のNATO・ロシア理事会(首脳会合)では、アフガニスタンからNATO諸国に向けての、従来とは逆方向でもNDNを活用することが合意された。