成長著しい中国は、近年、国境を接する中央アジア諸国との経済的結びつきを、時間の経過とともにますます強めている。ソ連解体に伴う独立国家同士の関係として、経済関係の構築が始まった。中央アジア諸国が中国製品を輸入する一方、中国へ石油など天然資源を輸出する主要な構図は当初から変わらない。だが、2000年代に入り、天然ガスを含めた新規パイプラインの敷設や新しい陸・空路の開発によって、貿易は質量ともに飛躍的に増大した。08年の世界的な経済危機を境に、中国から中央アジア諸国(カスピ海以東5カ国)への輸出額は166.7億ドル(09年)と前年比約3割減となったが、輸入額は前年比約15%減の69.3憶ドル(09年)と、比較的小幅な減少にとどまった。11年7月には特例的にカザフスタンとの国境に経済特区が設けられた。
資源関連の事業をめぐり中国企業の進出・投資も著しく、国境を接するキルギスとあわせて天然ガス・パイプライン敷設を中心にトルクメニスタンへの投資が目立つ。国家間の経済援助についても、欧米諸国が一般に中央アジア諸国への支援条件として自由・民主的な制度作りを求めるのに対し、中国はそのような要件を課さないことからも、中央アジア諸国にとって受け入れやすい側面がある。