2011年6月22日、アメリカのオバマ大統領によって公表された、14年までのアフガニスタンからのアメリカ軍撤退を目指す計画。オバマ政権は、発足後まもない09年3月、アフガニスタンおよびパキスタンに関する包括的戦略を打ち出したが、情勢悪化を踏まえ、駐留部隊の増派、そして11年7月以降にこれを順次撤退することを含めた新戦略を再提示(09年12月)。今回発表された計画は、予定通りに撤退開始を進め、12年夏までに増派した計3万3000人を帰還させることを主眼とするもの。11年末までにすでに1万人が撤退した。厭戦(えんせん)感漂う世論に配慮し、オバマ政権は確実な兵員の帰還を目指すが、アメリカ軍をはじめとする国際部隊の早期撤退により、アフガニスタンの治安悪化を懸念する声もある。要員の撤退に並行して、アメリカ政府はアフガニスタン国軍など治安機関の強化・訓練や、経済・社会インフラの整備に支援の重心を傾けつつある。11年9月、アメリカのクリントン国務長官はアフガニスタン安定化に向け、旧ソ連中央アジアや中東諸国を含め、輸送ルートや天然ガス・パイプライン開発など経済面での地域協力の活発化を目指す「新シルクロード構想」を提唱した。