2000年代より断続的に続く、タリバン諸勢力との政治的妥協をはかる交渉。14年末までの国際治安支援部隊(ISAF)からアフガニスタン当局への治安維持権限移譲を進めるためにも、タリバンとの和平がカルザイ政権にとって重要な政策課題となっている。カルザイ大統領は04年初めにはタリバンとの交渉の可能性について示唆。08年頃より秘密・非公式交渉が端緒についた。その後、アメリカやパキスタンを含めた多様な主体間で断続的に続いている。タリバンからは主流派クエッタ・シューラのほか、分派であるハッカーニー派(アフガニスタン東部を拠点とし、パキスタンの諜報機関ISIやアルカイダとも連携しているとされる)なども個別にアメリカやカルザイ政権と接触していると見られ、必ずしも国際交渉として体系的なプロセスを踏んでこなかった。10年9月、カルザイ政権はラバニ元大統領を長とする「高等和平評議会」を設置し交渉の体系化を試みたが、評議会を構成する民族間の利害が一致せず、11年9月にはラバニが暗殺されたことで頓挫。その後もプロセスの立て直しをはかるが、和平に向けた目立った成果を見ないままにある。