2013年10月9日に行われた選挙。現職のイルハム・アリエフ大統領が3選を果たした。今次大統領選挙に際しては、政権内外で注目すべき動きが見られた。一つ目は憲法改正である。1995年に成立した憲法では、同一人物の大統領3選は禁止されていたが、2008年に2回目の当選を果たしたアリエフ大統領は、翌09年に憲法を一部改正した。この改正で3選禁止規定は憲法から削除され、同一人物の連続当選に回数制限がなくなった結果、アリエフ大統領の3期目以降の出馬が可能となった。二つ目は、主要な反体制派野党が新顔の統一候補擁立に成功したことである。これまで野党勢力は統一連合の形成に失敗してきたが、今回、主要な反体制派野党は「民主勢力国民評議会」を結成し、各党党首ではなく、歴史学者で元議員のジャミル・ハサンリを擁立した。三つ目は、アリエフ大統領の3選出馬資格をめぐる論争から、非政党型の運動組織が形成され、政治的自由の拡大や憲法改正の問題点追及を掲げて青年層に支持を拡げたことである。特に3点目の動きは、政権がこれまで行ってきた政治的工作の範囲外から出てきたものであり、政権側も警戒を強めた。公表された選挙結果は、投票率71.63%、当選したアリエフ大統領の得票率は84.54%であったが、不正も数多く報告され、国際的評価は低いものであった。