グルジアはかねてから、日本語での国名呼称をロシア語風の「グルジア」から英語風の「ジョージア」に変更するよう要請してきたが、2014年10月、同国のマルグベラシビリ大統領が訪日した際、首脳会談において、安倍晋三総理から要望に沿って変更を検討する旨応答がなされた 。こうした非英語圏の国々に対する「グルジア」の呼称変更要請は、ロシア離れを志向する「バラ革命」(03年)以降のグルジア外交政策の一環であり、既に05年にはイスラエルに対し駐在大使が働きかけを行っている 。しかしより積極的になったのは、08年の南オセチアにおけるロシア・グルジア紛争の後である。11年6月には、韓国がグルジアの要請に応じて呼称を変更することを決めた一方 、リトアニアは要請に応じないとする裁定を10年に下している 。そもそも「グルジア」「ジョージア」の呼称はともに中世にペルシャ語で用いられた他称「グルジュ」「グルジャーン」に由来するとする説が有力であり、少なくとも元々ロシア語でないことに注意が必要である。なお、グルジアでは自国のことを「サカルトベロ」と称しており、隣国はそれぞれグルジアのことを「ギュルジュスタン(アゼルバイジャン)」「ギュルジスタン(トルコ)」「ヴラスタン(アルメニア)」と呼んでいる。わが国で正式に呼称変更するには、「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」等、関連法の国会における改正手続きが必要である。