アゼルバイジャンの現行憲法は1995年に制定され、過去2002年、09年に一部改正された。02年の改正では、大統領が職務遂行不能となったときの代行が、従来の国民議会議長から、大統領が任命する首相へと変更され、09年の改正では大統領選挙での3選禁止規定が削除されて、現職大統領が何回でも再選可能となるなど、一貫して大統領を中心とする現体制の継続が図られてきた。16年7月、イルハム・アリエフ大統領(03年から現職)は新たな憲法改正を行うための国民投票法案を憲法裁判所に諮問した。今次改正では、(1)大統領任期を現行の5年から7年に延長する、(2)大統領選挙の立候補要件から「35歳以上」という特別年齢制限を撤廃し、選挙権が付与される年齢である「18歳以上」に拡大する、(3)新たに第一副大統領職および複数の副大統領職を設置する、(4)大統領が任期途中で辞任した場合の臨時大統領選挙までの大統領代行を、現行の首相から新設の第一副大統領、副大統領、首相、国民議会議長の順に規定する、といった内容をはじめ、全29項目の改正点が盛り込まれた。これらの改正は、16年時点で19歳となった、アリエフ大統領の息子ヘイダルへの権力継承を容易にするものと解釈されている。16年9月26日に行われた国民投票は投票率69.7%、改正項目はそれぞれ83~92%の賛成票を得たと発表された。憲法改正が成立したことを受け、17年2月、アリエフ大統領は第一副大統領に自身の夫人メフリバン・アリエヴァを任命した。