1991年の大学設置基準の改正、グローバル化の進展と科学技術開発競争の激化、大学の卓越性とアカウンタビリティーに対する関心の高まり、18歳人口の急減に伴う「大学全入時代・大学淘汰の時代」とも言われる状況下での各大学の学生確保戦略への関心の高まりなどを背景に、90年代半ば以降、大学改革が盛んになった。(1)自己点検・自己評価とそれに基づく改革の推進、(2)企業のCI(corporate identity コーポレート・アイデンティティー)の重視と同様、UI(university identity ユニバーシティー・アイデンティティー)を重視し、大学の個性と魅力をアピールする広報活動の充実、(3)必修・選択科目の見直し、社会変化への対応などの「カリキュラム改革」、(4) シラバス(講義計画・概要)の作成など授業内容・方法の改善への組織的取組み、学生による授業評価や履修科目登録の上限設定(キャップ制)や厳格な成績評価(GPA制度 grade point average。毎学期の学業成績平均を出し、学生の指導や奨学金の参考資料とする)の実施、単位互換制度(協定大学での受講単位を自校の単位として認定)やダブルメジャー制(主専攻以外の分野の授業科目の系統的履修を副専攻として認める)の導入、セメスター制(年2学期制)の採用、ファカルティ・ディベロップメント(FD ; faculty development 大学教員の資質・教授能力の向上)プログラムの実施などの「教育水準の質的向上」、(5) アドミッション・オフィス(AO ; admission office 入試担当室)が自己推薦書や面接により入学者を選抜するAO入試の導入を始めとする「選抜方法の改革」などは、その代表例である。また、2005年1月の中教審答申を受けて06年に大学設置基準(文科省省令)が改正され、教員は教授、准教授(従来の助教授)、講師、助教(博士または修士以上の学位を有し十分な教育能力があると認められるもの)、助手の5種となった。