経済社会のグローバル化の進展、科学技術の発展、生涯学習社会への移行などを背景にして、1991年に大学院設置基準が改正されて以来、大学院の拡充と多様化が進められてきた。学部のない大学院だけの独立大学院、基礎となる学部をもたない独立研究科、複数大学が協力して教育研究を行う連合大学院、学外の研究水準が高度な研究所等の協力を得て教育研究を行う連携大学院、社会人の再教育や生涯学習の機会を保障するための夜間大学院、昼夜開講制大学院、通信制大学院はその例である。また従来、国立大学の予算配分や教官配置の基礎は学部にあり、大学院は学部に付属していたが、これを逆にした大学院重点大学の構想が提起され、東京大学大学院法学研究科を皮切りに大学院重点化が始まった。さらに99年には高度専門職業人養成に特化した教育を行う大学院修士課程として専門大学院制度が創設されたが、2002年に、学校教育法の一部改正及び専門職大学院設置基準の制定などが行われ、03年度より専門職大学院制度がスタートし、既設の専門大学院も03年度より専門職大学院に移行した。司法制度改革に伴う法科大学院もこの一類型。専門職大学院の特徴は従来の研究者養成を主目的とする大学院とは違って、高度の実務専門的教育を目的とし、課程修了者には専門職学位が付与され、必置専任教員の3割程度以上は実務経験者でなければならないといった点にある。