2011年4月に義務教育標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)の学級規模にかかわる条項が30年ぶりに改正され、小学校1年生の1学級当たりの児童数の基準を従来の40人から35人とすることになった(第3条)。小学校2年生以上については国・地方の財政状況等を勘案しつつ引き続き検討することになっているが、12年度は小学校2年について、同法は改正せず、加配措置等により35人学級にしていく予定となっている。学級規模の改善(縮小)は教育界では早くから要望されてきたことだが、それは、例えば学校内での暴力行為(校内暴力・生徒間暴力など)の増加や、不登校児童生徒、特別支援を必要とする児童生徒、日本語指導が必要な外国人児童生徒の増加など学校現場が抱える問題への対応も含めて、個に応じたきめ細かな教育・指導の充実を図るうえで不可欠だからである。こうした問題や課題は先進諸国に共通するものであり、そのため欧米先進諸国では早くから学級規模の縮小が進められてきた。例えば、小学校の場合、1学級当たりの平均児童数(07年)は、日本28人に対し、OECD諸国の平均21.4人、アメリカ約24人、ドイツ約22人、フィンランド約20人、スイス約20人、オーストリア約20人となっている。また、平均児童数が日本に近い約26人のイギリスと比べると、30人以上の学級の割合は日本54.2%に対し、イギリスは12.3%でしかない。