2010年6月に学校教育法施行規則等が一部改正され、11年4月より、すべての国公私立大学は、教員情報(学位や業績)、入学者に関する情報(入学者受け入れ方針、入学者数、収容定員、卒業者数と進学者数・就職者数)、授業科目と授業の内容・方法・年間計画、学修成果の評価と卒業認定の基準などを、刊行物への掲載やインターネットの利用その他の方法で公表しなければならないことになった。従前から、学校教育法および大学設置基準において、大学における研究教育活動等の状況に関する情報公開が義務付けられていたが、今回の改正は、その公開項目を大幅に拡大し明示した点に特徴がある。この改正は、04年3月の「規制改革・民間開放推進3か年計画」や05年1月の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」の提言を受けて、文部科学省が05年3月に発出していた「大学による情報の積極的な提供について(通知)」の内容を法令により規定し、その徹底を図るものと言えるが、その趣旨は、各大学が社会に対して説明責任を十分に果たすようにすることと、その教育の質向上を促進することにある。大学の序列化を促進するとか、大学によっては入学者確保が難しくなるといった意見や戸惑いもあるようだが、公的な教育機関としての大学の当然の責務だと言える。