大学が1年間の授業期間(学事日程)を4分するシステムを4学期制(クオーター制)という。他に主なシステムとして2学期制(semester systemセメスター制)、3学期制(trimester system)がある。世界的には2学期制が主流となっており、日本の大学も現在では大半が2学期制を採用しているが、最近この学期区分について、東京大学が2012年に秋入学移行についての協議を呼びかけた国・私立の有力11大学を中心に見直しが進められ、4学期制を導入する大学が、少数ではあるものの、増え始めている。学部段階では高知工科大学やものつくり大学が以前から実施してきたが、早稲田大学が13年度から2学期制と並行して実施し、慶応大学も14年度から基本的には同様の並行方式で4学期制を導入した。東大も15年度末までに具体的方式を決定し導入することを決めている(夏休み後に2学期を配置する(1)案と、夏休み前に2学期を配置する(2)案のいずれかを各学部が選択し決定する予定)。検討中の京都大学、名古屋大学、九州大学に続き、上記11大学の残りの大学も検討予定であるが、一橋大学は15年度からの3学期制の導入を検討中である。その一方で、これまで3学期制を採用してきた筑波大学は14年度から2学期制に移行した。どのシステムが望ましいかについては種々の意見があり、一概には言えないが、一般的には、2学期制は時間をかけてじっくり教えること・学ぶことができる点にメリットがある。これに対して、3学期制・4学期制は短期集中型になるため、カリキュラム・授業科目の多様化と履修上の選択肢・自由度の拡大や短期卒業が可能になるという点にメリットがあるが、各学期が短いためにせわしなく、広く深く学ぶことができないといったデメリットがあると言われている。上記の早大・慶大・東大・一橋大も留学を含む学生・教員の国際交流の促進(国際流動性の向上)やグローバル人材の育成を目的に掲げているが、東大や早大・慶大の4学期制は、留学生受け入れ数の最も多いアメリカの場合と比べると、幾つか問題がある。第一に、アメリカのクオーター制は夏休み中のsummer quarterを含むシステムであるのに対して、上記の大学の場合、夏休みと、欧米に比べて長い春休みを除く期間内での4学期制であるため、前述のデメリットが大きくなる可能性がある。また、教員の負担も多くなり、研究の劣化につながる危険性もある。第二は、2学期制との併用に伴う混乱や制約である。授業科目が2学期制と4学期制の両方で提供されると学修のリズムが異なることになり、履修科目の決定も面倒になる。アメリカでは、セメスター制が6割以上で最も多く、クオーター制は2割程度である。1960年代にセメスター制からクオーター制に移行する大学が増えたものの、80年代以降はセメスター制に移行した大学も少なくない。