教職の高い専門職性を求める社会的な要求に応えるべく、教員養成の中心を大学院に移行するために制度化された専門職大学院。2007年4月に関連省令等の改正が施行され、08年4月から開学可能になった。16年度現在、教員養成系学部を有する21校の国立大学、および早稲田大学など6校の私立大学、計27大学で設置されている。標準的な修了年限は2年間で、実習を含む必要単位を取得した修了者は、専門職学位「教職修士(専門職)」および「専修免許状」が取得できる。これまでの教員養成のあり方を問い直し、理論と実践の往還ないしは融合を行う点が教職大学院の最大の特徴である。共通科目を中心とする理論的な学修によって得られた知識と、「学校における実習」という連携協力校との緊密な協働によって遂行される経験を往還させながら、教職員として求められる力量を形成させる。従来の初任者研修をめぐる課題を解決しながら、即戦力として修了生を輩出しつつ、学校組織の現状を革新するミドルリーダーを養成するという二重の期待を込めて導入された。教員採用減の時代への対応、教育にかかわる他研究科との関係、理論との往還の充実など、克服すべき課題もある。