教育費の私費負担部分のうち、大半または全部を公的な費用で賄うこと。公教育費に占める私費負担の割合がきわめて大きい日本の教育の現状を変えていくことを通して、教育機会の均等化をめざすものである。先駆けは、民主党政権時の2010年に実施された高校教育の無償化である。公立高等学校における教育が無償化され、私立高等学校の高校生には就学支援金制度によって同額を支給することになった。この制度は、政権交代に伴って、14年度からは所得制限を設けた就学支援金制度に一本化された。その後、17年秋の衆議院選挙の際に、幼児教育・高等教育の無償化を政権公約に盛り込む機運が高まり、選挙後の17年12月に閣議決定された。しかし、幼児教育については、公平性の観点に立てば保育所の充実を優先させ、待機児童問題を解消すべきではないかという意見が出され、高等教育については、国が求めるイノベーションや、国家的な競争力の向上などの効果がどの程度あるのかという疑義が提示されている。