能力のある学生に対して、学業を行うために必要な金銭を給付・貸与する制度。一般には、経済的理由によって修学が困難である学生に修学を促すことを目的とする制度であることが多いが、経済的な状況にかかわらず能力の高い学生に対して給付・貸与される場合もある。欧米諸国の場合には、広く利用されている奨学金(scholarship)とは主に給付型を指し、貸与されるものは学生ローン(student loan)として区別される。日本では、営利を目的としない公的機関が何らかの形で関与している学生向けの金銭給付貸与制度をまとめて奨学金と称している。日本において最も利用者の多い奨学金は、独立行政法人日本学生支援機構(旧・日本育英会)の奨学金であるが、各自治体や各大学(とくに私立大学)もさまざまな奨学金を制度化している。金利低下と長引く不況の中で、返済の必要がない給付型奨学金が十分に行き渡っておらず、アルバイトと学業の両立に悩む学生の増加が課題となっていた。こうした状況に対して、政府は2017年、国の制度としては初となる給付型奨学金制度を導入。同17年度より先行的に実施され、18年度より本格実施に移される運びとなった。同制度は予約採用方式のため、大学等への進学前に、在籍する高等学校や、過去2年以内に卒業した高等学校を通して申し込む。経済的に苦しい家庭の生徒に限られるが、月2万円から4万円のサポートを受けることができる。