女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約。政治・経済・文化・社会のすべての分野における女性の権利を保障し、世界の女性の憲法といわれる。男女平等社会を実現するには男女の伝統的役割の見直しが不可欠だとする法的根拠になっている。締約国数約187カ国、署名国数99カ国(2013年6月現在)。1979年に国連総会で採択、80年「『国際女性の10年』中間年世界会議」で署名され、81年発効。日本は84年国籍法を改正し、85年男女雇用機会均等法を制定した上で、同年6月に批准。同条約に反する行為に対し、個人やグループが国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)に申し立てることを認める「選択議定書」(99年国連採択)について、日本は未批准。2008年には第6次日本政府報告が提出され、これに対して09年8月、CEDAWは女性だけの再婚禁止期間廃止、選択的夫婦別姓などの民法改正、選択議定書批准の検討、男女の賃金格差の是正などを勧告した。この条約の日本での普及を推進するNGO「国際女性の地位協会」は、CEDAWの傍聴を続け、各国の報告や勧告の翻訳・出版をしている。また02年に結成されたJNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)が日本政府の前向きな取り組みを求めてロビー活動をしている。11年11月、CEDAWは、日本政府に民法改正法案(婚姻年齢男女とも18歳の統一、選択的夫婦別姓制度の導入、婚外子と婚内子の相続分の同等化)への取り組みについて、1年以内に国連に報告するよう勧告した。15年は女子差別撤廃条約批准30周年にあたる。