経済開発によって女性がむしろマイナスの影響を受けてきたことを反省的にとらえ、1970年代以降、女性を開発の過程に統合すべきであるとする考え(WID)に基づく手法が導入された。女性を受益者とのみとらえるのではなく、女性の積極的参加を重視する点で意義があるが、80年代以降は、女性だけに焦点化するWIDアプローチの限界が指摘され、ジェンダーと開発(GAD)アプローチが導入されるようになった。後者は、男女の固定的役割分担や、ジェンダー格差を生む社会構造や制度自体を変える必要性を重んじる。北京会議行動綱領に、開発におけるジェンダー主流化(開発のすべての部門、プロセス、プログラムにおいてジェンダー平等の視点を統合し、すべての開発課題において男女が共に意思決定過程に参加できるようにすること)が明記され、ジェンダー主流化を目指す国際的な取り組みにおいて、WIDは補完的な手段という位置づけとなっている。