女性の年齢階層別労働力率をグラフにすると描き出される、30代でくぼむM字型の曲線。日本の男性や欧米の女性のグラフは高い台形を描く。日本の女性には大学などを卒業した直後の20代は仕事に就き、出産・育児期には辞め、子育て後に再び働く、「中断再就職型」が多いことを反映している。働く女性の追跡調査では、2005~09年に第1子を出産した人で出産後も仕事を継続できたのは38.0%で、6割以上が離職していた。「30~34歳」のM字のくぼみの中心層は、女性の社会進出に伴い1980年以降徐々に浅くなり、2006年の59.7%から16年70.3%へとカーブの底が上昇。晩婚化・晩産化の進行で、12年にはくぼみの中心層が「30~34歳」から「35~39歳」へと移行した(内閣府)。厚生労働省の調査では、未婚の男性がパートナーに望むライフコースも「専業主婦」型が減少し(10年は10.9%)、「両立」型が増加(10年は32.7%)。共働き世帯は、1997年以降片働き世帯を上回っている。経済や雇用の不安定さ、金銭的なゆとりや不測の事態への対応、夫婦共に自己実現すべきだという意識から、共働きが支持されている。女性の潜在的労働力率(労働力率+就労希望者の割合)は、どの年齢層でも実際の労働力率を上回り、就労を希望しつつも果たせていないことを物語る。ただし、いったん辞めると同職場・同職種への復帰は困難で、40代以上の全年齢層で非正規雇用者が正社員より多く、パート・アルバイトが大半。総務省の労働力調査によると、2014年の女性の労働力人口(就業者+完全失業者)は2824万人(前年比20万人増)、女性労働力率(15歳以上に占める労働力人口の割合)も49.2%であるが、非正規雇用者の増加に負う面が大きい。女性雇用者における非正規雇用の割合は56.7%(14年)で、過半数を占めている。