メディアを使いこなし活躍する女性を増やすことを重視した1995年国連北京行動綱領は、「メディアへの女性のアクセスの促進」を重要課題の一つに掲げた。女性は新しい情報技術から取り残されやすいためである。一方、社会的影響力の大きいマスメディアで働く女性の少なさも問題である。「女子アナ」は目立つが、若さの魅力を強調し、キャリアを積める例は少ない。日本では記者やディレクターといった制作現場の女性が1割を下回る時代が長く続いた。メディア全体での新規採用者では女性比率は3割台に上がっているが、従業員に占める女性の割合は2014年、日本民間放送連盟各社で20.9%、日本放送協会(NHK)で15.2%、日本新聞協会加盟各社で15.8%にとどまっている。放送局の場合、地方局より東京キー局の方が女性比率は低く、方針を決める役職に就く女性はまだ少ない。管理職に占める女性の割合では、日本民間放送連盟各社で12.5%(14年)、NHKで6.1%(15年)、日本新聞協会加盟各社で5.1%(15年)。役員となると極端に少ないのが現状で、NHKは20.8%だが日本新聞協会と日本民間放送連盟に女性役員はいない(男女共同参画局)。マスメディア組織が男女のバランスのとれた状態に変わり、多様な男女像を描き、女性たちを力づける積極的な役割を果たすことが期待される。