2004年に策定され、05~09年度に取り組まれた少子化対策。政府は、1989年の出生率が66年丙午(ひのえうま)の数値を下回った「1.57ショック」以降、合計特殊出生率の低下に歯止めをかけようと少子化対策を打ち出した。社会全体での子育て支援をねらいとした「エンゼルプラン(95~99年度)」、仕事と子育ての両立や子育ての負担感の緩和・除去のためのさまざまな環境整備をめざした「新エンゼルプラン(2000~04年度)」、そして「新エンゼルプラン」を改称した「子ども・子育て応援プラン」。少子化社会対策大綱に基づき、これまでの保育関係事業中心型の対策より幅広く、(1)若者の自立とたくましい子どもの育ち、(2)仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し、(3)命の大切さ、家庭の役割などの理解、(4)子育ての新たな支え合いと連帯、を重点課題とした。ファミリーフレンドリー表彰700企業、長時間の時間外労働者の1割以上減、全国での地域子育て支援センター6000カ所など、具体的な数値目標も設定した。10年1月には新たな数値目標(10~14年度)を含む「子ども・子育てビジョン」を閣議決定し、中でも重要な「子ども・子育て新システム」の構築に向けた検討会議を設置、同年6月に幼保一体化等を含む「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を発表。12年3月、政府はこの基本制度に基づき子ども・子育てに関する3法案を閣議決定し国会に提出、同8月には参議院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員会及び本会議で可決成立した。主なポイントは(1)認定こども園制度の改善、(2)認定こども園などを通じた共通の「施設型給付」及び小規模保育などへの「地域型保育給付」の創設、(3)地域の子ども・子育て支援の充実など。仕組みは、(1)基礎自治体(市町村)が実施の主体、(2)社会全体で費用負担(消費税率引き上げによる恒久財源の確保が前提)、(3)政府の推進体制の整備、(4)子ども・子育て会議の設置、など。